発育・おねしょ相談
発育・おねしょ相談
発育には大きく分けて成長と発達があります。成長は身長や体重など体が大きくなることをいいます。また発達は、運動能力やコミュニケーション能力を獲得していくことをいいます。
成長に関してよくあるご相談は「体重が増えない」、「ほかの子よりも背が低い」、「頭が大きい」などです。発達に関しては「お座りができない」、「まだ歩けない」といった運動面だったり、「言葉を話さない」、「働きかけに応じない」、「字が読めない、書けない、計算ができない」などといったコミュニケーションや学習面に関する相談があります。
成長の問題に関しては何らかの疾患で生じている場合も当然ありますが、授乳や食事などが適切に出来ていなかったりすることもあります。また成長の不安があっても成長曲線に当てはめてみると意外と問題がなかった場合もあります。
いずれにしても体が大きくならない、大きすぎるなどの不安や第三者の方からの指摘があった場合は受診をお勧めいたします。
成長の記録や家族歴、診察所見、必要に応じて血液検査や画像検査も行い、その所見などから早期に対応すべき状況かどうかを判断していきます。
また二次性徴(男児では精巣の増大や陰茎の増大、陰毛発生、女児では乳房の発達、陰毛発生、初経)の発現が年齢相当よりも早い、逆に遅いなどがある場合も何らかの内分泌疾患が隠れている可能性があります。二次性徴に関しても不安がある際は受診をしてください。 発達の問題に関しても、原因として神経筋疾患や自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障がいなどの神経発達症が挙げられます。特に神経発達症に関しては、その発達は定型発達と地続きです。神経発達症はその方の特性によって生活に支障があるかどうかを考えることが一番重要です。大切なことは「神経発達症かどうか」ではなくて「いまのその状況にどのように上手く対応するか」です。神経発達症の方は、周囲の人から叱責や非難を浴びることで自信を喪失したり孤立を深めることがあります。その結果、心身症や抑うつ、情緒不安定、(大人への)反抗的行動や反社会的な言動などの二次障害を引き起こします。
診断は病気のレッテル貼りではなく、ご本人の特性を知り、上手に対応する為の大きなヒントの一つになり、二次障害を予防することになります。
ご本人がコミュニケーションに関して困り感が強い、保護者の方が子どもに対して育てにくさを感じている、周囲の方がご本人に対しての接し方が分からず悩んでいる、などが生じている場合には小児科への受診や相談を積極的に考えてください。
5歳以上のお子さまで1か月に1回以上のおねしょが3か月以上続く状態を夜尿症といいます。
夜尿症は5歳の児で約20%、7歳の児で約10%、10歳の児で約5%にみられます。
夜尿症は以前から自尊心・自己肯定感の低下や「生活の質」の低下をきたし、保護者の心理的、社会的な不安の原理となることが明らかにされています。海外の報告では「いじめ」よりも心的外傷になりやすいとのデータもあります。直接生命に関わることはありませんが「たかがおねしょ、されどおねしょ」という言葉もあるくらい、放置することは避けるべき疾患です。
治療は夜間の水分や塩分を控える、就寝前の排尿、冷え対策を行うなどの生活改善が基本になります。生活改善のみで夜尿症が改善することも稀ではありません。
それでも改善がなければ抗利尿ホルモン薬やアラーム療法も治療の柱となります。
自然治癒率は年間10%(おねしょをしている100人の児のうち、1年後に10人が自然に治ります)ですが、治療を行うことにより1年後には約50%の児が、2年後までには約70%の児が治ります。
従って夜尿症では積極的な治療を行うことで、少しでも早く治ることが期待でき、上記の自尊心の改善やご家族の心理的負担も軽減できます。
また夜尿症を認めるお子さまの中には、昼間の活動中にも尿失禁を伴う方もいます。潜在性二分脊椎などの基礎疾患が隠れている場合もありますが、便秘の影響で尿を漏らしてしまうことも多くあります。昼間のお漏らしは他人にも目が付きやすく、からかいの対象になってしまうこともあり得るため、
お子さまの自尊心への影響を考えると早めの対応を行うことが重要です。昼間の尿失禁の治療も、内服薬だけではなくウロセラピーと呼ばれる排尿訓練(排尿姿勢、定時排尿や二段排尿など)を実践しながら、改善を待ちます。